私たちの生活を支える静かな歯車

正直に言うと、この仕事を始める前から、運転の仕事には大きな責任があると思っていました。
荷物を運ぶだけではなく、自分の行動が誰かの生活につながっていると感じていたのです。

働き始めてから、その実感はもっとはっきりしました。
届けるものは箱ではなく、人の生活を支える大切なものです。
薬が届けば治療が続くし、食品が届けば家庭の食卓が守られます。
工場の部品が間に合えば仕事も止まらない。

私たちの仕事は、社会の大きな仕組みの中の小さな歯車のようだと、ある日ふと思いました。
自分が動くことで全体がスムーズに回る。止まれば、すぐに影響が出る――そんな感覚です。

うまくいっているとき、人はその裏で誰が動いているか気づきません。
棚が埋まっている、荷物が時間通りに届く――それは静かに働く私たちのおかげです。
問題が起きたときだけ注目され、順調な日は誰にも見えないまま過ぎます。

外から見ると「ただ運転しているだけ」に見えるかもしれません。
でも、私たちが止まればいろいろなものが止まります。
名前も出ないし拍手もされませんが、それでも社会は動き続けています。
その中で、自分の役割を実感すると、静かな誇りを感じます

三上