私は以前、プロアマ両方参加出来るテニスの国内ツアーを転戦するという夢を本気で叶えようとしていた時期があります。
日本のテニスは、競技としてはあまり人気が無くスポンサーも少ないため、支援を受けてツアーを回ることが出来ている選手はトップ層だけで、それ以外のほとんどの選手は自費で参加しているのが現状でした。
私はやると決めたことはとことんやりたい性格なので、まずは基盤となる環境を作ることを考えました。
1週間の大会を年間20試合参加するための休みを取得出来る会社員仕事などほぼ存在しない為、ここで初めて起業という選択をすることになります。
色んな本を読んだり、セミナーに参加して得た情報で共通していた「選択と集中」を実践するため、今まで週6で行ってきたトレーニングやコート練習を一旦遮断してビジネスに全投球しました。
しかし、、中々結果が出ない状況を少しでも改善しようと始めたアルバイトを掛け持ちすることになり、どちらがメインなのか何がしたいのかわからない事態になってしまい、無情にも時間だけが過ぎて、気づけば10年経ってしまいました。
その間テニス自体に関わった時間はほんの僅かで、当時あんなに燃えていた情熱もすっかり冷めてしまっていました。
私はこの経験を通して、「準備が出来てから何かを始めようとする考え方は危険だ」ということを学びました。
たとえ全ての準備が3年で整ったとしても、テニスに対する情熱がまだそこにあるとは限らないし、実際にツアー参戦したら、想像していた世界と違っていたということも今なら考えられます。
今ある環境下で年間3試合しか出られなかったとしても、目標には向かっていると感じられるし、何より今を生きています。当時は今を生きている感覚が全くなく、日に日に心が荒んでいくのを感じながら生活していました。
やりたい事があるなら、そのやりたい事と少しでも関わりながら歩を進めるのがいいと思います。その間に気が変わったのなら想いはそれまで、また別の情熱を注げるものを見つけにいけます。
日常の中にそれがないと、自分自身の変化に気付くことも出来ないと思います。
当時の私にとって、テニスは人生の全てでした。
その熱過ぎる想いが、結果として生き甲斐を失ってしまうことになってしまいましたが、人生はこれからも続きます。
この経験が、私の今後の人生を後押ししてくれると信じています。
尾崎

